2017年度 日本翻訳・出版人が絢爛、豪華に集う伝統のパーティー
 10月20日夕、2017年度の日本翻訳家協会の協会賞受賞式が東京学士会館で行われた。式終了後のパ-−ティーは出版社と翻訳者、翻訳を読む人々が歓談する恒例のひと時。ITたけなわの時代、とくに今年は翻訳出版界の人々熱気溢れる雰囲気に浸りながら感慨一入であった。(写真は森本公誠東大寺長老)

―別人でないかって疑っておられる?私は正真正銘―アラビア語「イスラム帝国夜話」の翻訳者として受賞者挨拶に立たれたのは、法衣をまとわれた東大寺元別当(管長)の現長老、森本公誠氏。83歳とは思えない姿と声の張りである。森本長老はカイロ大学留学。30年前、母校の京都大学で教鞭を取られた当時のテキストを本職の激務のかたわら訳された。原作はアッバース朝末期に法官タヌーヒー(938~983)が書き遺したいわば社交界ゴシップ集。官吏の手記だからアラビアンナイト(千夜一夜)より真実味があって実に面白いし、森本長老の翻訳は日本語ことわざ用語も自由闊達に交えて読みやすい。本体はずっしりと重たい上下2巻の大著(岩波書店刊)である。本年度の翻訳賞作品もう一冊は、福田昇八訳「韻文訳 妖精の女王」上下巻(九大出版会刊)である。16世紀、イングランドの詩人エドマンド・スペンサーが当時のエリザベス一世女王に捧げた一大叙事詩だが、これも赤ビロード布地張りの超豪華本。いずれも手にするだけで心が豊かになったように感じる書物である。

 パーティーは当協会理事のビオラ奏者、植田はるみさんによる祝賀曲演奏で始まり、翻訳をめぐる興味深いお話がパーティーに移っても続いた。翻訳特別賞の南田みどり訳「ビルマ1946 独立前夜の物語」を出版した段々社社長坂井正子さんが語る南田さんのエピソード。「1988年に最初の本のことでお宅に電話したら子供さんが出て、『いまオッパイを飲ませているからダメ』といわれた。当時は今度の受賞作の著者であるテインペーミン氏の大作を翻訳中だったのです。最近は、『私は死ぬまでビルマ文学を研究したい。死ぬのが楽しみ。テインペーミンに逢っていろいろ聞きたいことがヤマほどある』と言われているのです」因みに段々社は女性一人で起こしたアジアの女性作品を手掛ける会社。 (写真は表彰者記念撮影)

「翻訳書の批評文化を育てよう」 受賞された年以外にも顔を見せて下さる早川書房早川浩社長が述べた乾杯の言葉―日本で遅れているのは批評文化。私の父が1945年早川書房を起こしたが、以来、米国の出版界との事情の違いを常に感じてきた。日本にはすぐ批評するのを躊躇する傾向がある。美しい日本語の翻訳文化は世界でも最先端。これに批評文化を加味することが大切である―に共感した。




2016年度 日本翻訳家協会 協会賞表彰式
過去一年に最も優れた翻訳と翻訳作品出版の業績を称える【日本翻訳家協会 協会賞】の表彰式を、10月21日(金)午後5時から東京学士会館(千代田区神田神保町)にて開催致しました。受賞者・受賞団体に協会より賞状、賞金、賞牌が贈呈されました。記念撮影の後、参会の翻訳家や出版社代表、編集者と受賞関係者、協会会員を交えた懇親会が行われました。

2015年度 日本翻訳家協会 協会賞表彰式
過去一年に最も優れた翻訳と翻訳作品出版の業績を称える【日本翻訳家協会 協会賞】の表彰式を、10月16日(金)午後1時から東京学士会館(千代田区神田神保町)にて開催致しました。協会から賞状、賞金、賞牌が贈呈されました。記念撮影の後、参会の翻訳家や出版社代表、編集者と受賞関係者、協会会員を交えた懇親会が、賑やかに和やかな雰囲気の中で行われました。

写真は前列中央に、翻訳賞の森一郎東北大学教授。左に出版賞の神崎茂治中央大学南甲倶楽部専務理事と橘宗吾名古屋大学出版会編集長。右に翻訳特別賞の故小笠原豊樹氏夫人幸子さんと伊藤昌輝氏(元ベネズエラ大使)。後方は翻訳者と協会関係者たち。


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